2018年10月|つづく「かもしか小路」

つづく「かもしか小路」

父は、新聞を三部くまなく読むことと

スーパーに食べたいものを自分の分だけ買いに行く以外に一日中何もしません。

あまりなにもしないので母は一日に何度も大声で怒っています。

よくこんなに明るく怒られるもんだと感心します。

仕事を退いてからは、私たちに意見をいうこともほとんどありませんでした。

自分たちもそろそろ次に繋ぐことを考えますが、それこそ一日に何度も口をだしてしまいそうで困ります。

ただ気仙沼の柏崎に「鼎・斉吉」を開くために準備を始めてからは

毎日「 俺は柏崎だけは反対だぞ、あんな山の中さお客さん来ねぇべ」

毎朝言いました。これは私たちの心構えに効きました。

父の心配のとおり、そんなにお客様がおいでにならない日もありました。

かもしかの親子やたぬきだけがおいでになる日も時にはあります。

かもしかは神々しい眼差しでこちらを優しく見ています。

樹齢何年でしょうかケヤキの大木は岩を割って立ち、空に向かって大きく枝を広げ

海を渡って吹く風に葉がさわさわ さわさわと唄っています。

毎日父に聞かれます

「今日は店どうや?」「いっぱいお客様においでいただいたよー忙しがったー」と報告できることが増え「そうがーおれ あんなどごろさ お客さん来ねぇど思ったぉんなー 良がったなぁ 」

気仙沼の入り江が見える丘の上、小さな道を近くのみなさんと相談して「かもしか小路」と呼ぶことになりました。

この道にある気仙沼プラザホテルさんは海水の温泉に入れます。

体が海に入った時と同じに浮きますよ。優しい恭子女将がいらっしゃいます

気仙沼ニッティングさんのメモリーズは 上質の手編みのニットのお店です。

これからもっと楽しいことが続いていくことと思います。

お話はつづくです。